福井県鯖江市河和田

Spot.08 喫茶椀椀 Kawada, Fukui

河和田の有名な伝統工芸といえば漆器。そんな漆器で美味しいご飯を食べられる場所がある。

その喫茶は、漆器の展示や販売を行う河和田の象徴的スポットである漆器会館の中にある。「椀椀」と名付けられたそのお店の名前から、食事と一緒に漆器の椀を楽しんでほしいという想いが感じられる。

漆器の展示・販売スペースに隣接する席に座ると、手際よくお膳が運ばれてきた。

左側には大きなお膳、右側には小さなお膳。それぞれに5皿、3皿の食事が置かれていく。もちろん、お椀は全て河和田で作られた漆器だ。また、お膳やお箸も漆塗りが施されている。

結婚式なおどの祝い事などでは古くから、このような配置での食事が親しまれてきたとのことだ。

深みのある漆器の光沢に、整然と並べられたお椀たち。いつもとは違う特別感に、思わず背筋が伸びる。

料理には、河和田で採れた食材が多く使われているとのこと。右側の小さなお膳には、新鮮な山菜を使った料理や、河和田の伝統的な薬味である「山うに」を使った、どこか懐かしさが感じられる料理が並ぶ。

左側の大きなお膳には、揚げ物や煮物。漆器の蓋をぱかっと開ければ、ご飯や汁物、小さな副菜が顔を覗かせる。

漆塗りの箸をとり、いつもより少しゆっくりと料理を口に運ぶ。素材の香りや甘みを活かした味付けが、身体中に染みわたる。

幼少の頃から、洋食や加工食品に慣れ親しんできた現代の若者でも、これは「母の味」だと遺伝子レベルで感じる。

漆器の伝統的な食事には、食後にも決まりがあるそうだ。食べ終わったお椀は、このように順番に積み重ねていく。

これがあまりにも綺麗に重なるので、なんだか楽しくなってくる。日本人は、食後のお椀にも美学を求めたのだと思うと、その感性の深さを思い知る。

食後には、温かいコーヒーとデザートが運ばれてきた。ポップな絵柄のコーヒーカップからは、伝統と現代との融合を感じる。

そのほかにも、河和田の伝統的な薬味である「山うに」を使ったランチや、オリジナルグリーンカレーのランチもある。手軽に食べられるこれらのランチのお椀も、もちろん漆器だ。

お椀と一緒に楽しむ料理。それからは、日本の伝統の美しさを感じられた。今日からもう少しだけ、丁寧に生きてみようと思った。


福井県鯖江市西袋町40-1-2
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